「炭酸水素ナトリウム」は「重曹」と呼ばれる身近な物質
消火器には、様々なタイプの消火薬剤があります。
その中で、「消火薬剤の主成分が炭酸水素ナトリウム」というものがあります。
実は「炭酸水素ナトリウム」は、日常生活において、料理などで幅広く利用されている「重曹」と呼ばれる物質なのです。
ここで「料理における炭酸水素ナトリウム」と「消火薬剤における炭酸水素ナトリウム」に共通点があれば、「消防設備士乙種6類」試験に出てくる「炭酸水素ナトリウム」という物質について、覚えやすいですよね。
実際、共通点があるか調べてみました。
■ 料理における炭酸水素ナトリウム
「料理における炭酸水素ナトリウム」は、生地やクッキー、ケーキなどの焼き菓子を膨らませ、ふんわりとした仕上がりを作り出す役割を果たしています。
では、実際どのようにケーキを膨らませ、ふんわりと仕上げているのか?「厚焼きパンケーキの作り方」を例に挙げてみます。
【厚焼きパンケーキの作り方】
ボウルにヨーグルトと牛乳、砂糖を入れ、泡だて器で混ぜます。さらに卵を加え混ぜあわせます。
薄力粉、ベーキングパウダー、重曹をふるった粉類をボウルに入れて、泡だて器でさっくり混ぜます。
熱したフライパンにサラダ油をうすくひき、フライパンに油がまわれば、余分な油を取り除き、ぬれ布巾の上で少し冷まします。
フライパンに②の生地をお玉一杯分流し入れ、弱火で3~4分焼きます。
表面にプツプツと小さな泡が出てきたら裏返して約3分焼きます。
竹串を刺し、ぬれた 生地が付かなくなれば、焼き上がりです。
>>厚焼きパンケーキの作り方(共立食品株式会社のレシピより)
【特記事項】
酸性のヨーグルトとアルカリ性の重曹(炭酸水素ナトリウム)を混ぜると化学反応が起こり、二酸化炭素が発生します。
この二酸化炭素の力により、ふくっらと厚みのあるパンケーキに仕上げます。
■ 消火薬剤における炭酸水素ナトリウム
「消火薬剤における炭酸水素ナトリウム」は、化学泡消火器のA剤が代表的なものとしてあげられます。
【化学泡消火器のしくみ】
消火器本体を転倒させると、
外筒のA剤(炭酸水素ナトリウムの水溶液…アルカリ性)と、
内筒のB剤(硫酸アルミニウムの水溶液…酸性)
が混ざって化学反応が起こります。
その時に生じる二酸化炭素の力によって泡を放射させます。
■ 「料理における炭酸水素ナトリウム」と「消火薬剤における炭酸水素ナトリウム」の共通点
上記で記載したように、どちらも「アルカリ性の炭酸水素ナトリウム」と「酸性の物質」が混ざって化学反応が起こり、二酸化炭素を発生します。
この二酸化炭素の力により、ふっくりしたパンを作ったり、泡の消火薬剤を放射したりします。